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中国株のリスクを考える


 日本株や米国株と違い、情報量の少ない中国株に投資する以上、ある程度のリスクは覚悟しなければなりません。しかし、そのリスクの向こう岸には、高度経済成長の恩恵をたっぷり受けた中国株特有のアグレッシブな株価の急騰、つまり大きな利益が待ち受けている可能があります。

 ですから、中国株投資家はどこまでリスクを軽減できるかどうかが腕の見せ所となります。

 最近、中国株のリスクをめぐって投資家の間で話題になった銘柄、それは遠東生物製薬 (ファーイーストファーマ・香港メインボード0399です。主力製品は製薬と抗高血圧の医薬品。「塔山」ブランドの商品は、中国29の省、市、自治区で販売されていて、日本の個人投資家にも人気の高かった製薬銘柄です。

 中国株のリスクを考える前に、遠東生物製薬の暴落の経過を振り返ってみます。



 2004年6月17日午後、同社の株価は0.9香港ドル前後から0.05香港ドルまで急落、0.68香港ドルで取引停止となります。92%の暴落でした。翌日、この暴落は中国情報局で次のように報じられています。

 薬品生産・プロモーション・販売を手がける遠東生物製薬科技有限公司[香港上場、遠東生物製薬(ファーイーストファーマ)、0399]は、17日の取引で株価が90%以上暴落。午後3時56分に香港証券取引所によって、強制的に取り引きを停止された。17日付で香港・経済通が伝えた。
  同社の取引は17日午後より下落を始め、株価が0.048香港ドルまで落ち込んだ。取引停止前の価格は0.068香港ドルで、92%の下落。6億1800万株が取引された。香港証券取引所は同社に対し、早急に原因を通告するよう求めた。
  香港証券取引所の周文耀・行政総裁は、この事件について現在、調査を進めていると説明。しかし、上場企業の董事会などのすべての動向を追跡するのは困難な状況であるとの見解を示している。
(中国情報局)

 証券取引所ですら、暴落の原因が分からない。投資家にとって最悪の相場です。翌日になっても遠東生物製薬の暴落の原因は未発表。遠東生物製薬が民間企業、いわゆるP株として注目されていただけに他のP株銘柄にも投資家は不安を覚え、売り注文が殺到しました。

 民間企業として初めてH株を発行したフロートガラス生産大手の浙江ガラス(セッコウガラス・香港0739)は18日、1.75香港ドルで寄り付いた後、一時0.55香港ドルまで暴落、下げ幅は68%以上。先進的農業技術で業界をリードしている超大現代農業(チャオダモダンアグリ・香港0682)も18日、前日比でやはり二桁以上、下げました。

 そして週明け、こんな記事が出ます。

 薬品生産・プロモーション・販売を手がける遠東生物製薬科技有限公司[香港上場、遠東生物製薬(ファーイーストファーマ)、0399]の蔡崇真・董事局主席に失踪疑惑が出ていることに関し、曹銘升・董事総経理は20日、これを否定した。21日付で香港・経済通が伝えた。
 曹・総経理によれば、蔡・主席は心臓に疾患があるため福建省内の病院に入院しているが、現在のところ生命に別状はないと説明。失踪疑惑や中国の関連当局の取調べを受けているなどといった報道を否定した。
 また、同社が21日にも取り引きを再開するとの報道にも、そんなに早く再開はできないとコメント。一方で、同社の経営は正常であると強調し、必要があればいつでも記者会見を開く用意があると述べた。(中国情報局)

 投売りしたのは誰なのか?23日になって、ようやく見えてきます。

 6月17日の取り引きで大手証券会社の国泰君安証券が1億3980万株を放出していたことが明らかになった。23日付で香港・財華網が伝えた。
 国泰君安証券は17日の取引で、株価0.069香港ドルで遠東生物製薬の株式を売却、1億3980万株は同社の発行済み株式数の6%に当たる。この日の最安値は0.048香港ドルだった

 まもなく国泰君安証券だけでなく、別の株主であるGreat Wall Investment Group Limitedも、21日に1株当たり0.09香港ドルで3億4400万株を売却。同社の持ち株比率は56.41%から40.6%に減少していました。
どうして投売りしたのか?

 7月9日、ようやく事態は明確になってきます。

 中国の福州市公安局の関係者は、薬品生産・プロモーション・販売を手がける遠東生物製薬科技有限公司[香港上場、遠東生物製薬(ファーイーストファーマ)、0399]の蔡崇真・主席に対して、付加価値税発行票偽造の罪で取調べを行い、現在は保釈。ただし、同市内での自由行動は許しているものの、出国は禁止していることを明らかにした。9日付で香港・経済通が伝えた。
 この関係者によれば、同市政府は蔡・主席が香港上場企業の経営者であることを了承して保釈を認めたと説明。しかし、上場企業の問題については中国国内で処理に当たるよう蔡・主席に指示し、投資家への説明のために香港を訪問することは禁じているとしている。なお、蔡・主席逮捕との報道に対し、同社の曹銘升・董事総経理はこれを否定していた。

 株価が暴落したのが6月17日。このニュースが報じられたのが7月9日付。なんという情報開示の遅さ。個人投資家に中国株の怖さをまざまざと見せつけた一件でした。



 「遠東生物製薬」という製薬会社は、「中国株 特選50銘柄」(戸松信博著)でも「バイオ銘柄の風雲児」として推奨されていて人気がありました。

 同書のなかで戸松氏は「バイオ株というと、実際には利益が出ていない、これからの企業が多いのですが、遠東生物製薬は実際に利益・配当も出しているバイオ企業です。大きな成長性を期待できるわりには株価も割安で、1.5香港ドル(2003年10月に株式分割1株→4株)あたりから徐々に買い始めていきたいところです」と述べています。

 確かに遠東生物製薬には魅力がありました。

 同社は風邪薬、漢方薬、抗高血圧剤などを製造し、販売ネットワークは中国国内2000の病院と26000店の薬局をカバー。生産許可薬品数も270種に及び、2001年に福建省の製薬会社、2003年には上海や安徽省の製薬会社を買収。生産能力を拡大し、売り上げも2001年6月決算では409百万香港ドルだったのが、2003年6月には992百万香港ドルと倍増。純利益も94百万ドルから175百万ドルと急成長を遂げています。



 株価もPER(株価収益率)が10倍以下、ROE(株主資本利益率)は20倍以上と、非常に割安感がありました。

 中国国民の所得水準そして生活水準が向上すれば、必ず健康への関心が高まる。遠東生物製薬のように中国国内に強力な販売ネットワークを持っている製薬メーカーはきっと強いのではないかと思っていました。

 ですから、ほたるも買いたいと思った時期もありました。ただ、2つの点で購入には至りませんでした。

 ひとつは、ほかに欲しいP株があったこと。資金をそちらに回しました。
 2点目は、遠東生物製薬が買収と新薬開発に充てる目的で銀行団から総額3100万米ドルの融資を取り付けていたことです。非常に積極的な経営姿勢なのですが、今後、米中の利上げが予想されるなかで金利負担がどうなるのか、いまひとつ不安がありました。



 ただ、今回の株価暴落は経営的ミスというよりは、経営者の犯罪という経営者リスクが原因です。トヨタ自動車やソニーなど日本株と中国株の大きな違いは、日本の投資家にとって中国企業のトップの資質や素性が分かりにくいことです。ですから、今回のような暴落は事前に察知して防ぐことはとても難しいといえます。

 では、どうすればいいのでしょうか。

 ほたるはP株(民間会社)の比率をポートフォリオの20%以下にしています。かりに、これが紙くずになっても諦めがつく水準で購入をとどめておくことが重要だと思っています。ちなみに、ほたるの保有するP株は百仕達控股(12000株)と新奥気控股(2000株)、大慶石油化工(10000株)の3銘柄です。この3銘柄を購入した理由は、「投資銘柄」の項目をご覧ください。

 リスクを全く取りたくないという投資家には電力や高速道路銘柄に絞った投資が最適かと思いますが、やはりポートフォリオのなかに低位株も仕込んで大きく成長するかどうか見守るという醍醐味もほたるは感じていたと思っております。

 今回の遠東生物製薬の暴落について、「中国株で一億円儲けた」の著者・小泉鉄造さんが、投資家が守るポイントを述べておられます。非常に参考になりましたので、要点を記します。


・情けは不要
 情け不要とは各自が民間企業株を買う場合、
 損切りを行う覚悟で投資を行うことです。
・常に注意しておく
 企業の経済状況、企業動向には充分注意を向けていくことです。
・リスクをヘッジ
 過去の事例から見て、市場で噂が出ただけでも
 株価はすぐに2、3割下落します。
・手を切るのも大事
 よい企業と思ったら即買い、危ないと思ったらすぐ放す、
 このような方法もあります。
 いたずらにリスクを増すだけの投資は避けるべきです。

中国株に投資する場合は分散投資を心がけたほうがいいでしょう。
分散投資といっても各銘柄に分散する、ということではなく、
安全度の高い企業への分散です。

詳しくはこちらをご覧ください。


「中国株二季報」
日本株でいう「四季報」に匹敵する「二季報」の最新号が発行されました。この種の本はいくつか発行されていますが、香港、上海、深セン各市場の上場企業を研究するのには一押しです。何よりも見やすく、データーが整理されています。しかも、解説も的を得ていて中国企業を分かっている人が書いているな、という感じがします。割安株はどれか、自分で研究したうえで、投資したいという中国株投資家にとっては必携の一冊です。

 

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