星空

冬の冷たく冴えた空気。
静かにたゆたう宵闇。
河原の土手から見上げる空には、
澄んだ光芒を放つ幾千の星たち。

ふと孤独を感じたときに、わたしは決まってここを訪れる。
そして遥かな星空に思いを馳せるの。
舞い降りてくる光は結晶は、ゆっくりとわたしに降り積もる。
この星にただ一人残されたわたしに。

誰もいない世界。
わたししかいない世界。
それはとても悲しい世界。

でも……この星空を見上げると思うんだ。
わたしは一人じゃない、って。
誰かがきっと、わたしと同じこの星空を見ているはずだから。
果てしないこの宇宙のどこかから。
そう信じてるから。

はぁ、っと吐いた息が白い。
今夜も寒いね。
でも、大丈夫。
心の中はとっても温かいから。
だってわたしは一人じゃないんだから。
頬を撫でてゆく北風だって、心地よく感じられるよ。
<了>

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