明け方の空。
流れる雲を見て、僕はえいえんを感じた。
心の中を映したような灰色の雲。
抗う術もなく風に運ばれていく儚い存在。
絶えず姿を変えながらも、その本質が揺らぐことはない。
雲はどこまでいっても雲なのだ。
移ろいゆく時の中で、雲はいつまでたっても雲なのだ。
えいえん。
それはえいえんの存在だ。
たとえこの星がなくなり、宇宙が終末を迎えても、
雲はきっと雲のままなのだ。
そしてそれを眺める僕も。
変わりゆくもの。
変わらないもの。
それは別のもののように見えても同じなのだ。
全ては刹那の存在。
そして同時にすべてはえいえんの存在である。
日常の中にひっそりと落ちているえいえんの欠片。
その欠片を手にした時、人は何を思うのか。
人は何を願うのか。
すべては雲だけが知っている。
<了>