見上げれば、そこにあるのは月。
漆黒の闇に溶け、かすかにゆらめいている。
青白いひかりは、いかにも儚げで…
それでいて変ることのない輝き。
月は何も言わない。
ただ私のこころを映し出してゆく、鏡。
やさしい光の衣は私を包んでくれるけど
私はやっぱり悲しい。
何故だろう?
消え去りそうなこころが
ゆっくりと天をのぼってゆく。
鏡に映ったそれは
青く、白く、霞んでいった。
月。
冷たく優しい月。
時と共に、果てなくめぐり続けるだろう。
私が消えたあとも
…私の心だけを乗せて。
<了>