その日、車(愛馬ろでー:色は黒)に乗って向かったのはカーショップだった。 その店でなぜか他の客の ETC 車載機をセットし直すことになった。ろでーから工具を取 り出し、少し離れた所にあるその客の車を勝手に開けて(おいおい)作業を行う。作業はす ぐに終わり、再び店に戻って店員と話をしていると、その店員が店の外の駐車場を見な がら言った。 「お客さんの車、ドア開けっぱなしですよ」 そちらを見てみると、ろでーのドアとトランクが全開になっている。先ほど工具を出した 時だろうか。イタズラされると困るので閉めに行こうと思うのだが、店員の雑談が長くて 外へ行けない。しばらくすると店員が冷静にこう言った。 「あれ、お客さんの車が...」 見ると確かにろでーがなくなっている。外へ出てあたりを捜してみるが見当たらない。お ろおろしていると、話の長かった店員が駐車場の奥の作業ピットから「ありました」と声 をかけてきた。よかったよかったと行ってみると、そこにあったのはろでーとは似ても似 つかない紫色の妙な車だった。 おわり